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イチゴ「あまおう」

花や農産物等の植物の新たな品種の育成をした者は、その新品種を登録することで、育成者権を25年専有できます。育成者権の権利は、優先権や専用利用権、通常利用権など保証されます。この種苗法における育成者権については、他の知的財産権と同様に、アジアなどにおける海賊版農産物が大きな問題になっています。例えば、山形さくらんぼ 「紅秀峰」が、枝を持ち出されて、現地に紅秀峰の林ができたり、北海道が育成したいんげん豆「雪手亡」や、栃木県育成の苺「とちおとめ」などが、中国や韓国などで無断栽培され、日本に逆輸入される事件もありました。商標権についても、「コシヒカリ(越光)」や「一目ぼれ」が既に登録されていたという事実が発覚し、「青森」も危うく登録されそうになったという例がありました。
こうしたなかで、福岡県は、イチゴ「甘王(あまおう)」の商標や品種を輸出先でも登録して独占販売をねらっています。あまおうは、香港、台湾の富裕層向けに年間50トン輸出され、1バック1500円でも飛ぶように売れています。近いうちに中国でも品種登録の予定です。これは、小泉内閣がアメリカに倣って行った知財立国宣言に即応する形で進められています。日本米など日本農産物の付加価値が認められ、日本ブランドが近隣諸国の富裕層に支持されてきました。

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「安代りんどう」

岩手県八幡平市は、岩手の風土にあったリンドウのオリジナル品種を育成し、1965年代後半から安代町を中心に、組織的に栽培を開始し、りんどう生産日本一になりました。この「安代りんどう」の栽培法をニュージーランドの農家に教え、品種の3%の品種利用料も得ています。もともと、安代りんどうは、夏しか収穫できなかったので主にお盆用として利用されていました。冬出荷するため、南半球ニュージーランドで栽培することを考え、その際、栽培契約書を交わし、品種登録しました。ニュージーランドで年間22万本生産されていますが、3%の品種利用料は、決して高くないと言うのが、現地の実感のようです。ニュージーランドは、「安代りんどう」の新たなマーケット開拓に一役買いました。花の最大市場オランダで予想以上に売れたのです。ヨーロッパには青い花が少ないので、結婚式のブーケなどの彩として人気を得ました。日本からも輸出を開始し、ヨーロッパには年間44万本の安代りんどうが輸出される結果となりました。
チリでも生産をはじめ、アメリカへの輸出を始める予定です。

「レッドパール」の悲劇

日本で品種開発された農産物が海外で無断栽培され、対応に苦慮するケースも相次いでいます。
苺「レッドパール」は、「とよのか」と「アイベリー」の交配種ですが、栽培しやすく甘くておいしい品種で、日持ちするのでケーキや高級菓子用として使われています。愛媛県宇和島市の西田朝美さんが13年かけて開発したもので、地元特産の真珠から レッドパールと名付けられました。これが、韓国での流通量3分の1を占める「陸宝(ユッポ)」です。韓国での売り上げは、年間700億円超えると言われています。西田さんは8年前に無断栽培を知り、驚いて利用料の支払いを申し入れましたが、韓国には品種登録制度がないと拒否されています。
日本ブランドのいちごの無断栽培は、「章姫」などの品種でも起きており、国際植物新品種保護連盟による知的財産の概念が導入されているにもかかわらず、韓国名で勝手に栽培されています。韓国内ではイギリス品種のイチゴも生産されていますが、イギリスに対しては栽培料を支払っています。日韓両国の生産者と開発者との間で栽培料に関する議論が開始され、2008年以降は日本国の対象者に対しても栽培料の支払いが行われるはずでしたが、全く進展は無いようです。

Copyright © 2008 農産物の知的財産権